(第12回)紀の松島と洞窟露天風呂(和歌山県) - 心に残る日本の旅/温泉、ローカル線、宿 (井上晴雄)

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(第12回)紀の松島と洞窟露天風呂(和歌山県)

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紀の松島湾巡り・ホテル浦島の天然洞窟風呂「忘帰洞」
~「勝浦温泉」(和歌山県那智勝浦町)~



 白浜温泉と並んで南紀を代表する勝浦温泉は、マグロ漁で知られる勝浦漁港に臨み、熊野詣の参拝前に身を清める湯垢離場(ゆごりば)として発展してきた。

熊野那智大社や那智の滝など南紀の観光の基点として特に便利で、鉄道や車を利用して観光客が一年を通して訪れる。
新鮮な海の幸の食膳、複雑な入り江に落ちる夕日、そして、宿の多くは半島の先や中の島に点在しているため、送迎船に揺られて宿の玄関に行くというスタイルが多くて何とも味わい深い。

 大阪から西名阪自動車道、名阪国道、伊勢自動車道、国道42号線と乗継いで約6時間。

観光バスが勝浦町に到着したころ、太陽は既に西に傾き始めていた。
勝浦桟橋からはホテル浦島の送迎船に乗り換える。約10分ほど船に揺られると、向こう岸にあるホテル正面玄関に到着するという段取りだ。


それでも十分楽しめるのだが、時間が余っていたので、隣の桟橋から出航している「紀の松島湾巡り」の船に乗ってみた。そうすれば、奇岩の宝庫である勝浦湾(通称”紀の松島湾”)を40分かけて一周してからホテル浦島の玄関につけてくれる(大人1430円)。
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 勝浦湾の入り口には130余りもの小島が点在している。闘将の平維盛が入水されたとされる山成島、岩がこぶのように2つ突き出ているラクダ島、ライオンが寝そべって吠えているようなライオン島。船は滑らかに旋回し、それらをゆっくり掠めながら、湾を一周する。
冬の夕暮れの訪れは早い。太陽は西の地平線近くまでに傾き、今まで区切りが不明瞭なほど青一色だった空と海の間にも色濃い境界線ができはじめた。燃えるような西陽は、太平洋の大海原に色鮮やかに映し出され、それを黄金色に輝かせた。都会生活では絶対に見ることのできない見事な一幕だ。
 太陽が半島の端に落ち、夕闇が、薄いピンク色に染まる秋空を静かに飲み込みはじめたとき、船は勝浦湾の入り江を一周し終えて、目的地「ホテル浦島」に到着した。
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 当日、宿泊した「ホテル浦島」は、勝浦湾にせり出す狼煙半島を占め、西日本最大規模を誇る老舗ホテルだけあって巨大そのもの。また、いわゆる勝浦温泉名物の天然洞窟風呂を楽しみたいなら勝浦温泉の数ある宿の中でもここがお勧めだ。
 到着後まず夕食を摂った。1階のレストランにてバイキング形式。メニューは、マグロ、イカ、ハマチ等の刺身、握り寿司、海鮮チラシ寿司、鯨の鬚酢、サラダ、デザートなど。新鮮な海の幸をふんだんに使った海鮮料理が各コーナーに盛られ、選ぶだけでも満腹になるほどの内容に筆者は大満足。


 その後、早速、風呂巡りを始めた。「ホテル浦島」の館内は広大で、何と、内湯が12個、露天風呂が4個もある。ゆっくり入るなら一泊では廻りきれないほどなので、入りたい湯をあらかじめ定めておくのが良いかもしれない。その中でも特に人気が高いのは、やはり大洞窟風呂「忘帰洞」だ。
それは、熊野灘の荒波が長い年月をかけて造り出した天然の洞窟を、そのまま風呂場にするという斬新な構想から生まれた「ホテル浦島」自慢の大露天風呂。
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 忘帰洞と書かれたのれんをくぐって風呂場に入ると、そこは、巨大な岩石の中だった。外から見ると、そそり立つ巨大岩盤の中に間口25m、高さ15m、奥行き50mの洞穴がポッカリと口を開けている状態だというのだから、その壮大な構造には流石に驚かされた。その先には太平洋の大海原が優雅に広がっていた。
押し寄せるさざ波の音を耳にしながら、ゆっくりとその温かい湯に浸かっていると、1日の疲れなど遠い海原の彼方に消えてしまった。ちなみに勝浦の湯は食塩を含む硫化水素泉。慢性関節リウマチ、神経痛、糖尿病などに効用がある。



 「忘帰洞」の名の由来は、太守時代初期に訪れた徳川頼倫公の残した言葉にあるといわれている。それは、当の岩窟風呂に入浴して勝浦の地をいよいよ後にすることになった頼倫公が、「帰るのを忘れるほど。」と感慨深く賞賛した台詞から。自然の雄大さを描き出したような湯船、紺碧の大海原、磯風の香り、天然洞窟・・無理はない。



 忘帰洞に1時間ほど入ったあと、他の風呂場も駆け足で廻ってみた。お勧めのものを挙げると次の通り。忘帰洞を小さくしたような玄武洞、7色に湯の色が変化する磯の湯、砂浜をイメージしたはまゆうの湯、紺碧の海を一望できる山上館の展望風呂。どの湯に浸かってもそれぞれ独自の個性が光り、海を舞台とする漁町の旅情を見事に体現していた。


 翌日の早朝、送迎船でホテル浦島を後にした。紺碧の海の彼方にみるみる小さくなっていくホテルの外観を見送っていると、何故かひどく切なくなってしまった。もう少しゆっくり風呂場で羽根を伸ばしたかったというのもあるが、それは、今考えてみると、自然の持つゆっくりした時間から、忙しなさに追われた日常生活に舞い戻る辛さだったような気がする。
「帰るのを忘れるほど」。そのように述べた頼倫公の言葉が何となく分かるような気がした。



ホテル浦島
TEL 07355-2-1011
宿泊料 一泊二食付き
16000円~
外来入浴 2000円

湯は硫黄泉(疲労回復、リウマチ、神経痛などに効能

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